大自然の中の自分

名も知れぬ草花ひとつでさえ、人の力ではつくれない。
大自然がつくるのです。
私たちは常に、この見えざる力を見つめなければなりません。
大切なのは、その見つめ方です。
科学する心をもつことは大事ですが、大自然を離れて科学はない。
大自然を離れた時、人は人であることを忘れ、苦しみを招くようになります。

登山をするにしても、昔の人は「参詣(おまいり)する」といった。
今は「征服する」という。
大自然というお座敷に上がらせてもらっておきながら、
征服したという思い上がりが、思わぬ災いの根をつくっていくのです。
私たちは、もっと心の目を開いて見つめ、大自然の神秘と尊さに気付かねばならない。
大きな大きな、おはからいの中に生かされている「自分」を悟ることです。