お、ユカちゃんのママ、久しぶりやん。元気にしとった？

オカンさん、元気は元気なんですが、ちょっと心配事が……。

心配事？私でよかったら聞くで。

実は、私とユカって仲良しというか、友だちみたいな関係で、何でも気軽に話せていいんですが、これからも友だち親子のままで大丈夫なのか心配で……。

今どきは友だちみたいな仲良し親子が好まれるんかなぁ。

まわりにも、友だちみたいな親子がけっこう増えてますね。

ふーん。けど、昔は親と言えば、とにかく怖かったもんや。怖いからこそ、親の言うことも聞くし、子どもが真っすぐに育ったんやないかと思わんでもないなぁ。

そうそう。私も母親が怖くてなぁ。陰でこっそり鬼ババアとか言ったりしてたが、そのくせ何でも母親に頼りっきりの甘えん坊じゃったよ。

和尚さんは、仲良しの友だち親子ってどう思いますか？

同じ仲良しでも、友だちの仲良しと親子の仲良しでは、意味が違うと思うのぅ。

どう違うんですか？

友だちの場合は、まったく対等な仲良しじゃが、親子の場合、命がけで子どもを守り慈しむのが親であり、親に心から頼り切り、畏れ敬うのが子ども。それぞれの立場を守ってこそ、親子は仲良くできるのだと思いますぞ。

なるほど……。

ユカちゃんもそろそろお年頃やし、親子関係もチェンジして、けじめをつけてあげた方がええんちゃうかな。

けじめ、というと？

ふむ。例えば、子どもの反抗期は、親から自立するために必要な期間なのじゃが、友だち親子では反抗期がない場合があり、そのせいで子どもの自立が妨げられることもあるそうじゃ。

そうか……。反抗期って、子どもの自立には大切なステップなんですね。

友だち親子は、親にも子にも心地よい関係ではあるが、子どもの成長、自立のためには、親は親らしく、子どもは子どもらしく、けじめのある関係が大切だと思いますぞ。

さすが和尚さん、たまにはええこと言わはるなぁ。

た、たまには……。

ははは。そんなガッカリした顔せんでもよろし。和尚は和尚らしく、いつもの満開の笑顔で笑い飛ばしなはれ！