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和尚と考える終活

和尚と考える終活75:お墓【5】~相続とお墓

和尚と考える終活75:お墓【5】~相続とお墓

戦前の民法では、相続について「家督」という概念が存在しておりました。今も考え方としてゼロではないと思いますが、しかし法律上は「ない」と申しても良いのかもしれません。

さあ、昔は基本的に長男が家を継ぐという社会でありました。親の事業や財産を原則、長男が相続・継承するというものです。その代わりといいますか、先祖の祭祀や親の面倒もその相続者が引き受けるという形ですね。最近は使われる頻度が少なくなりましたが、「本家・分家」なんて言い方がありました。この表現が、その家の家督を継いだ者とそうでない者を言い分ける表現だったのです。

しかし戦後、民法が改正され、相続についての決まりが変わりました。財産については「分配」が中心となったわけです。「みんな平等でいいなあ」そのように現代人は直感すると思います。

ではお尋ねします。「墓」も分配しますか? できないですよね。相続に関する法律は変わりましたが、法律でくくれないものとして「祭祀継承権」が残っているわけです。日本は法治国家ですから、なんでも法律でくくれるかと思いますが、やはりそうではないですね。人の思い、願い、神仏や先祖を敬う心、そういったものは法律ではくくれないということでありましょう。

少し話が広がりましたが、「墓」の話でしたね。で、目下日本は少子高齢化。いわゆる「家」を中心とした祖先崇拝の上に「墓」がありますので、子どもが少ない昨今では「家墓」を構えても継承するものがいない、または少ない。この状況から、納骨堂やひいては散骨などという考え方が生まれたのであります。

和尚の嫌いな言葉「多様性」ですが、ここにも多様性の乱用が、さも必然のような顔を覗かせているのであります。

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情報

タイトル和尚と考える終活75:お墓【5】~相続とお墓
投稿日2023.02.17
著者 良活和尚
テーマ
アイキャッチ和尚と考える終活75:お墓【5】~相続とお墓