和尚と考える終活98:終活の原点【4】~頼む勇気
「頼む」ということができる自分づくり、というと「和尚、そんなこといつでもできるよ、しょっちゅうみんなにいろんなこと頼んでるし」そうおっしゃると思ってましたよ。そうでしょうね。毎日「これ頼みます」「ちょっと頼まれてくれる?」とか言いながら生活しておられますよね。よくわかります。
では「私のオムツを替えてください」と頼めますか? 生きている私たちにとって、きっと頼みづらい、またできれば頼みたくないお願いではないでしょうか。さあここです。「頼む」ことのできる自分づくり、それは、自分のすべてをさらけ出す勇気を持つことなんです。オムツの話は突き詰めた事案ですが、「頼む」ことができる自分になるためは、頼みづらいことを頼む勇気が大切なんだと思います。
皆さんが身近な人に何かを頼んだとしましょう。その時に相手が「いいよ」と快諾してくれたら安心ですよね。でも断られたらどうですか?「人が頼んでるのに、冷たいな」と思いませんか?その頼みごとが、自分で何とか対処できることならば、文句を言いながらもクリアされるでしょう。でも自分でクリアできない事柄、「オムツ交換」などは、本当にお願いするしかないじゃないですか。それが「頼む」ということの本質なんですね。
終活は「子どもたちに迷惑をかけたくない」「自分のことは自分で始末したい」という、耳ざわりのいい言葉から始まります。でも、高齢者が取り組む終活は、「頼む」ことなしには成立しないことを、深く理解しておいてほしいと思います。
素直に頼める自分づくり。終活の必須課題です。