和尚と考える終活50:相続【5】〜相続人(後編)
相続、もう少しややこしいところをお付き合いくださいね。
以前、相続の定義をお話しましたよね。「人の財産など様々な権利・義務を、他の人が包括的に承継すること」でしたね。権利だけではなく、義務も付帯されているのであります。ですから単純承認、相続放棄、限定承認といった相続の方法が立てられているわけでありますが、前回お示ししました「法定相続人」も、相続の「権利と義務」の対象者であるということであります。
では、この「権利と義務」一体どこまで連なっていくのでしょうか。お孫さんがおられる世代のご夫婦のうち、ご主人が他界されたとしましょう。どうでしたっけ? 配偶者は、常に、相続人。でしたね。ですから奥様は相続人です。次に、孫がいるのですから当然「子」は存在しているわけですが、想定したくないケースではありますが、たまたまご子息は、早くに他界されておられたとしましょう。
お嫁さんとお孫さんがおられます。さあこの場合です。直系卑属(子)が第一順位でした。でもその方はもうおられません。では第二、第三とさかのぼるのでしょうか。いいえ違います。この場合、この「孫」が第一順位となります。これは「代襲相続」と言いまして、「第一順位」に限り、何代でも卑属を下ることができるように定められております。
もちろん、あくまで「直系」の卑属であることが条件ですが。ここに日本の「家」を中心とする構成を垣間見ることができますね。「○○家」という「家」を大切にする考え方が、幸いかな残っているように思います。そもそも昔は「家督」を相続したんですからね。あっいけない、この話をすると大幅に脱線して目的地にたどり着けなくなります。これはまた改めて。