和尚と考える終活84:おひとりさま【5】〜おひとりさまの準備
「おひとりさま」の準備として、まず大切な考え方は「自分で生活できる」ということだと思います。その中でも筆頭に上がるのが、健康、身体に関する状況ではないでしょうか。食事をしたり排泄をしたり、寝起きしたり歩いたり。ごく普通のことかもしれませんが、このことができないと、ひとり暮らしは成立しないですよね。
しかし、人間の肉体は、ある一定の時期を過ぎますと「老化」が始まります。身体能力が衰えてまいります。ですから、ひとり暮らしの準備としては、「健康寿命」を延ばす努力がまずは大切なことでありましょう。普段から意識をして足腰を鍛えたり、脳を活性化するために読書をしたり考えたり。その努力を継続していただきたいと思います。
次に、やはり経済的な部分も重要でありましょう。ご高齢の方の多くは「年金」を頼りとした生活が多いかと思いますが、ひとり暮らしの高齢者が年金だけで生活できているかといいますと、実はあながちそうでもないのです。令和2年度の調査によると、生活保護の全受給者のうち約52%が65歳以上の高齢者という状況です。つまり経済的な部分でも、ひとり暮らしには高いハードルがあるという事実。やはり可能な限り将来設計をしておくことも大切なのかもしれませんね。
次に生活力という部分です。これは特に奥様に先立たれた男性の場合なのですが、炊事、洗濯、掃除、買い物その他、ほぼ主婦の方が担っておられる家庭において、その方がいなくなると、全く機能不全に陥ってしまうというケースも少なくないのです。どちらが先立つか、誰にもわからないですよね。ならば男性といえども、ひとり暮らしができるスキルを身に着けておくことが大切かもしれません。
男性諸氏、まずは米を研いでご飯を炊いてみましょう。