和尚と考える終活30:葬儀とは【5】~葬儀と宗教(前編)
今回は「葬儀」について少し掘り下げたく思います。
前回、葬儀とは「魂に対する儀礼である」とお伝えしましたよね。「魂」って何? そんな質問が返ってきそうですが、皆さんは「魂」というもの、あると思われますか?あると思う人、手を挙げて。はい、大方の人が手を挙げられましたね。
では次に、それは目に見えますか?目に見えるという人、手を挙げて。はい、おられないですね。そうです、魂は目には見えません。でも大方の人は、あると思っています。
まれに「ない」と言われる方もおられますが、でも次の質問をすると下を向くんですよ。「お墓参りに行かれて、ご先祖様に報告やお願いをしたことありませんか?」魂は「ない」と言う方も、やっちゃってるんです、これ。ほとんどの方が、目には見えないけど、ご先祖様はおられるという感性を持ち合わせておいでなんです。ある意味すごい感性だと思いますよ。
さあこうなりますと、「魂」を否定できなくなりますよね。人は亡くなっても、「魂」という存在として、私たちの身近などこかに「おられる」という感覚を、たいていの方は持っておられるのだと思います。ゆえに、葬儀では「魂」に対する儀礼を行うということになるのであります。
では、その目に見えない「魂」に対して、いかなる方法で向き合っていくべきか、です。どうでしょう、「目に見えないものには目に見えないもので…」ちょっと言い方が乱暴ですかね。そうです、神様仏様という目に見えない存在に頼む、ということが必要になってくるのです。
ここにおいて和尚としては、「葬儀」とは、宗教によるもの以外ないでしょう、という結論に至るのであります。