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和尚と考える終活

和尚と考える終活32:葬儀とは【7】~葬儀と宗教(後編)

和尚と考える終活32:葬儀とは【7】~葬儀と宗教(後編)

以前、葬儀の主役は故人とお話しましたよね。でもちょっと考えてもらいたいのですが、この「主役」、全く言葉を発しません。でしょ?言葉を発したら怖くないですか。「もう少し焼かんといてくれー」とか棺桶から聞こえたら、とってもややこしいでしょ。そうです、主役は全くモノを言いません。モノを言えるのは誰ですか? そう、喪主や葬儀に関わっている人たちです。

ここにおいて実は、「主役は故人」というものの、思いや言葉の主体はこちら側(葬儀を出している側)にあるということなんです。ちょっとややこしいですかね。

葬儀の要は「目に見えざる存在に、故人の魂の昇華を頼み、ゆだねる」ということです。「主役は故人」でも「頼む」のは? そうです、残った人たちなんです。「きっと、仏様の元へ迎え取っていただいているに違いない」「きっと、神様の世界で次の勉強をしているに違いない」などと思うのは、生き残った方だということです。

わかってきましたか、つまり葬儀を宗教で行うことにより安心や納得、了解点を受けるのは、実は故人ではなく、葬儀を出している方であるということなんです。

仏教はインドで起こりました。しかし元々の仏教には「魂」という観念は無いのです。日本にやってきて、日本人の感覚とうまく融合して、今日の考え方が成立しているんです。さあ、わかってきたでしょう。実は葬儀とは、「主役は故人」でありながらも、その故人が昇華することを信じ、そのための手続きを行うことによって、生き残った側の人々が「安心・納得」をいただくことが最も大きなテーマである、ということなんです。

ですから、葬儀から宗教を外すと、その中心となる目的が果たせなくなります。和尚の意見としては、葬儀に宗教はなくてはならないものなんです。

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情報

タイトル和尚と考える終活32:葬儀とは【7】~葬儀と宗教(後編)
投稿日2021.06.25
著者 良活和尚
テーマ
アイキャッチ和尚と考える終活32:葬儀とは【7】~葬儀と宗教(後編)