読込中

和尚と考える終活

和尚と考える終活87:おひとりさま【8】〜1人では死ねない

和尚と考える終活87:おひとりさま【8】〜1人では死ねない

ひとり暮らしについて書き連ねてきておりますが、ここで理解しておいていただかねばならないことがあります。とても大切なことですからね。それは「人は1人では死ねない」ということです。

健康寿命を延ばす努力をした。経済基盤が整うための努力もした。万一1人になっても生きていける生活力を身につけた。としても、人は必ず亡くなるのです。そして「亡くなる少し前の時間」があり、亡くなれば「亡くなった後の時間」があるのです。これこそが「1人では死ねない」という言葉の意味する所です。

人は必ずどなたかのご厄介にならねば最期を迎えられません。どんなに頑張っても、これだけは避けられません。病気で入院治療する。認知症になってグループホームに入所する。突然の心臓発作で亡くなる。どのパターンであっても、最期はどなたかのご厄介になるのです。「私は誰の厄介にもならず死んでゆく」なんて、いい恰好した言葉を吐く人が、もしいたら教えてあげてください。「それは無理ですよ」と。

初めから「おひとりさま」という生き方を選択する若者も増加傾向にあります。若いときはまだよいでしょうが、年を重ねるごとに、その選択をした自分自身を責める方もおられるのではないかと思います。

人とのかかわりは面倒くさいでしょう。でもその面倒くささという刺激があるからこそ、人生は楽しめるのではないでしょうか。山の景色はなぜ人の心を揺さぶるのか。それは全く同じ絵柄が存在しないから。場所によって、季節によって、常に移り替わる景色こそ、私たちの心に刺激を与え、感動を与えてくれるものなのではないでしょうか。和尚はそう思うのであります。

「おひとりさま」という生き方を否定はしませんが、必ず訪れる「最期」をしっかり考えて、選択をしてもらいたいものです。

シェア

X Facebook LINE

情報

タイトル和尚と考える終活87:おひとりさま【8】〜1人では死ねない
投稿日2023.08.04
著者 良活和尚
テーマ
アイキャッチ和尚と考える終活87:おひとりさま【8】〜1人では死ねない