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和尚と考える終活

和尚と考える終活91:安心への備え【4】~家族信託

和尚と考える終活91:安心への備え【4】~家族信託

成年後見制度という公的制度を活用して、自分自身の保全を行うことができることをお伝えしましたが、もう少しソフトな方法で、特に財産の管理委託をする方法があります。「家族信託」という方法です。

「家族信託」は公的な制度ではなく、いわば「商品名」のようなものなのですが、皆さん「投資信託」といった言葉はよく耳にされるでしょう。でも「家族信託」は初めての言葉かもしれませんね。これは、2007年に施行された「改正信託法」により、いわゆる法人以外の家族などにも信託を設定できる方法であり、2013年に一般社団法人家族信託普及協会の設立によってできた信託方法です。

主な考え方は、高齢になった方が、自分自身の財産の管理を家族などに信託し、受託者(信託された者)はその財産から生じる利益を、信託者が決めた分配先に分配をする、という形です。いわゆる「遺産相続」とは違い、委託者が元気なうちに受託者に円滑にバトンタッチができる方法であります。

また、信託ですから、受託者はその資産を積極的に「運用できる」というメリットもあるわけです。「成年後見制度」でも財産の保全管理はできますが、財産を守る、減らさないことが重視されるため、「運用」はできません。

家族信託は、あくまで財産管理のための制度であり、信頼できる家族に大きな裁量、権限を与えることができるのが最大の特徴です。今後、さまざまな相続方法の1つとして、注目を浴びるかもしれません。

私のように、「三衣一鉢(さんえいっぱつ)」(修行に最低限必要な3つの衣と托鉢用の鉢)しか持たない僧侶には、あまり関係ありませんがね。

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情報

タイトル和尚と考える終活91:安心への備え【4】~家族信託
投稿日2023.09.29
著者 良活和尚
テーマ
アイキャッチ和尚と考える終活91:安心への備え【4】~家族信託