和尚と考える終活104:エンディングノート【2】~人生の棚おろし
エンディングノートはたくさん出版されておりますが、そのいずれを見ましても、一番最初にあるのは「自分」のページであります。当たり前と言ってしまえばそれまでですけど、でもこれがエンディングノートを書く際に最も重要な項目なんです。どう重要かと言いますと、自分自身が自分をきちんと振り返る、ということなんです。
一般に終活の取り組みは「家族に負担をかけたくない」「後の人が困らないように」といった思いから始める方がほとんどですが、ことエンディングノートは、そのために有効であると同時に、終活の本来の目的である「今をよりよく自分らしく生きる活動」に立ち返らせてくれるツールなんです。
氏名、生年月日、血液型、出生地などから始まり、年を重ねるごとの出来事やエピソード、そういったことを振り返ることが、このページでできるのです。いわば「人生の棚おろし」です。小さいころ得意だったこと、よく好んで飲んだジュース。兄弟との関係、住んでいた町の風景。そういったことまでも、自分のページから見つめなおすことができるのです。
結婚や出産、また出会いや別れなど、自分を取り巻く長い長い時間を見つめなおす機会を得ることができるのです。単に財産や老後のことを委託するために書く方もおられますが、それは大変もったいないことではないでしょうか。
終活に取り組むような、どちらかと言えばご高齢の方は、時々刻々と記憶が少なくなります。脳細胞の稼働率も低くなってまいります。だからこそ、自分のページを書かれる時に、しっかり人生を振り返って味わうべきではないかと思うのです。
嬉しいこと、そうでないこといろいろありましたでしょう。でもそれが今のあなたを作り上げてきたのです。